自転車は法律により歩道を走ることが認められている、と言う基本的事実が認知されていない件

Yahoo知恵袋で「自転車が歩道を走るのが許せません!わたしの言ってる事、おかしいですか?」という質問があって、先日私が書いたエントリにリンクが貼られていたので結構な数のアクセスがありました。が、やりとりを眺めると自転車は法律により歩道を走ることが認められている、と言う基本的な事実が認知されていない件に驚いたのでもう一回エントリを書くことにしました。

ところで警察庁が、次期国会の道路交通法改正で、自転車を原則車道通行から、原則歩道通行へと変更しようとしていることがご存知ですか?

車の増加による交通事故の多発に対して、1978年に自転車を車道にあげる法改正が行われ、その例外規定が結果的に30年続いている訳ですが、今度は原則自体を変えて自転車を歩道にあげる(=自転車が歩道以外を走ったら法律違反で検挙する)という改正をしようとしているそうです。どれだけ自動車業界優先しているんだ?という話ですよね。自転車が悪い、いや歩行者だって悪いという話ではなくて自動車を最優先してそれ以外に無理を押し付けているということに気づいて欲しいと思います。

http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/2007/01/post_a22c.html

警察庁が、次期国会の道路交通法改正で、自転車を原則車道通行から、原則歩道通行へと変更しようとしている。
これはとんでもない暴挙だ。こんな無理筋の法改正を許してはならない。
この問題については、“自転車ツーキニスト”で有名な疋田智氏が精力的に反対運動を組織している。


疋田氏のメールマガジン「週刊 自転車ツーキニスト」(http://www.melma.com/backnumber_16703/)


疋田メルマガから、現状を簡単に簡単にまとめると、警察庁は、自動車の車道における制限速度を引き上げようとしている。そこで邪魔になる自転車を歩道に上げようとしているのだ。

自転車が歩道を走るのが許せません!わたしの言ってる事、おかしいですか?

というYahoo知恵袋の質問。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1121418141

以下回答の抜粋。

Aさん
道路交通法でも違反ですし、車道を走るのも危ないのは分かりますが、
歩行者が全くいない場合以外は、歩道は自転車を押して歩くべきと思います。


Bさん
自転車は歩道を走ってはいけません。あなたの行ってることは正しい。


Cさん
自転車が歩道を走るのは法律違反です。


Dさん
歩道走行したら罰金100万ってぐらいに。
そうすれば絶対歩道なんか走行しませんよ。
ですが現状ではそれは不可能なのですよ。


Eさん
まぁ法律を言えば違法になりますね。

えー?!根拠は?(^^;;

事実:自転車は法律により歩道を走ることが認められている

結論から言ってしまいますがそもそも自転車は法律により歩道を走ることが認められています。

軽車両の定義:道交法「第一章総則 第二条(定義)」より

自転車は「軽車両」という分類になっています。

十一  軽車両 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう。

軽車両の通行できる場所の規定:「道交法第三章 車両及び路面電車の交通方法 第一節 通則」より

軽車両である自転車が走れる場所は車道であるとされています。自転車については1978年の法改正で「特例」が追加され歩道の通行が許可されました。

(通行区分)
第十七条  車両は、歩道又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第四十七条第三項若しくは第四十八条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない。


(軽車両の路側帯通行)
第十七条の二  軽車両は、前条第一項の規定にかかわらず、著しく歩行者の通行を妨げることとなる場合を除き、路側帯(軽車両の通行を禁止することを表示する道路標示によつて区画されたものを除く。)を通行することができる。
2  前項の場合において、軽車両は、歩行者の通行を妨げないような速度と方法で進行しなければならない。

自転車が歩道を追加することを許可する規定:「道交法第三章 第十三節 自転車の交通方法の特例」より

「車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき」というのがいわゆる交通戦争の結果応急処置として特例を設けた部分ですね。

(普通自転車の歩道通行)
第六十三条の四  普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
一  道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
二  当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三  前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
2  前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。