IBM、Sunと買収交渉
IBMがSunを買収するらしい。Yahooが潰れかかったり、ソフトウェアの世界でも半永久的に続くかと思われた企業達も例外ではなくなってきたのかと感慨深い。
IBMのSun買収交渉の是非についてはIT Mediaの記事(ウォール・ストリート・ジャーナル記事の翻訳)が詳しいので是非読んで欲しい。
Sunの事情
まず下記のようなSun側の事情が有り「ここ数カ月、Sunは多数の大手IT企業に身売りを持ち掛けていた」。HPは断った。
IT業界で最も辛口なCEOの1人、スコット・マクニーリー氏の下、かつて野心的な新興企業の典型だったSunは、ワークステーション事業から始まり、インターネットブーム時に大手サーバ販売企業へと転身した。
だがドットコムバブル崩壊後は苦戦が続き、IntelやAMDのプロセッサを搭載した低価格サーバに遅れて参入した。マクニーリー氏の後継者でポニーテールがトレードマークのジョナサン・シュワルツ氏は、ソフトとデータストレージの革新への比重を高めた。だが、ハイエンド機器販売やいち早く不況に突入した金融セクターの顧客への依存が打撃となり、Sunの株価は過去1年間で急落した。
IBMの状況
一方IBMにとってハード中心のSunを買収することは今までの戦略と異なっている。IBMはソフト、サービスが売り上げ/利益の中心となっており、近年ThinkPadを含むPC事業まで売却してしまったばかりだからその流れに逆行することになる。
同社は近年、ソフト企業と幾つかのサービス企業を買収する一方で、PC事業などハード事業を売却している。IBMは売上高の半分以上をサービスから稼ぎ出しており、利益はほとんどサービスとソフトから上がっている。Sunを買収すれば、ハード事業が売上高の3分の1近くを占めることになる。
IBMはここ数年、利益率を上げることに力を入れており、その利益は規模で勝るHPを超えている。だが、10〜12月期に2億900万ドルの赤字を計上したSunを買収すれば、IBMの採算性は低下するだろう。同社は投資家に買収を受け入れてもらうため、合併後に大幅なコスト削減をしなければならない。
IBMのメリットデメリット
考えられるメリットはCisco、HPなどデータセンター関連で競合する企業に対する対抗だ。
HPは過去数年、データセンター管理製品を拡大するためにソフト企業を買収してきた。昨年には米Electronic Data Systems(EDS)を130億ドルで買収し、ITアウトソーシングサービスでIBMとの直接対決に乗り出した。
IBMやCiscoなどの企業に加え、低価格サーバに特化したDellもポートフォリオを拡大してきた。現在は独自のデータセンターソフトとサービスを提供している。
Sun買収に動くということは、IBMは利幅が小さくてもハードウェアで競争しなければならないことを認めているのかもしれない。DellとHPは近年、サーバの価格を引き下げており、サーバはPCと同様に次第にコモディティ化している。
最後に課題。利益率が落ちるという以外に、UNIX関係など重複が多いことと独占禁止法にひっかかる可能性がある。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0903/18/news088.html
「IBMがSun買収に向けて交渉」の報道
米IBMが米Sun Microsystemsを買収する交渉を進めていると、Wall Street Journalが情報筋の発言として伝えた。
IBMは65億ドルの現金でSunを買収する可能性が高いと、情報筋は同紙に語っている。つまり、Sunの17日のNASDAQ市場での終値4.97ドルに、約100%のプレミアムを付けることになるという。Wall Street Journalによると、ここ数カ月の間、Sunは多数の大手IT企業に身売りの話を持ちかけていたという。米Hewlett-Packard(HP)はその話を断ったと同紙は伝えている。